Interview   vol.02

ライオン株式会社

ビジネスインキュベーション部長
藤村 昌平
  Shohei Fujimura

2004年ライオン入社。
R&D部門で新規技術開発、新規訴求開発、新ブランド開発を経て、2016年よりプロジェクトベースの新規事業創出業務に従事。2018年に新設されたイノベーションラボにて新規事業の実現とイノベーションを生み出す組織創りに注力。
2019年4月より新価値創造プログラム「NOIL」事務局長。
2020年1月より現職。

インタビュー:KomfortaWorkation 山根好子

Interview   vol.02

ライオン株式会社

ビジネスインキュベーション部長
藤村 昌平 Shohei Fujimura

2004年ライオン入社。
R&D部門で新規技術開発、新規訴求開発、新ブランド開発を経て、2016年よりプロジェクトベースの新規事業創出業務に従事。2018年に新設されたイノベーションラボにて新規事業の実現とイノベーションを生み出す組織創りに注力。
2019年4月より新価値創造プログラム「NOIL」事務局長。
2020年1月より現職。

インタビュー:KomfortaWorkation 山根好子

コロナ禍での『ワーケーション』がもたらすもの

―藤村さんはワーケーションをたくさん実践されていると思います。通算どのくらいになりましたか?

10回以上は行っていると思います。関東近郊に関わらず、金沢や珠洲(※石川県珠洲市)など様々な場所に行っています。

―プロですね!ワーケーションする前と後で具体的に変わったことはありますか?

コロナ禍で外出自粛期間が始まり、外出しにくい雰囲気の中で巣籠生活を続けていましたが、言葉にできない違和感を覚えていました。ずっと家にいることで、心身に何らかの影響を受けているようで…この違和感はなんだろう?と思っていました。一度目の緊急事態宣言が解除された後に、少しずつ会社に行く機会ができたり、コワーキングスペースで仕事をしたりする中でその違和感は徐々に薄れていき、ワーケーションをするようになって完全になくなりました。
今になって思うのは、この違和感の正体は「五感の刺激」ではないかと思います。家でPCに向き合って仕事をしていると、なかなか五感は刺激されません。今まで気が付いていなかっただけで、この「五感の刺激」が自分のパフォーマンスを上げていた要因で、自宅での仕事が続く中で刺激がなくなったことで違和感を覚えるようになったんだと思います。
「可能な範囲で様々な環境・手段を使って、新しい人と出会う機会、新しい世界に触れる機会を作っていくことが、働く上でとても大事」ということに、テレワーク、ワーケーション…と働き方を変える中で気付かされました。

―なるほど。ワーケーションが1つの気付きのきっかけになったんですね。

はい。ワーケーション先で新しいコミュニティや繋がりができたことも良かったと思っていることのひとつです。

他にも、今回のコロナ禍で企業のカラーやカルチャーが浮き彫りになりましたね。世界中が同じ課題に立ち向かう中、その反応千差万別でした。コロナ禍がきっかけで企業の働き方に関する考え方の違いが見え、「自分の働き方はこれでいいのか?」「どうしてこの会社で働いているんだろう?」と働く意味を考えて言語化していく流れがとても興味深いです。

―コロナ禍だからこそ生まれた気付きや動きですね、面白い…。そんな社会風潮の中において、ワーケーションの『価値』はずばり何だと思われますか?

ワーケーションで初めて訪れた地域、初めて使った施設での人との出会いですかね。例えば私と山根さんも「ワーケーション」がなければ出会わなかったかもしれないですよね。普段の生活では交わることのない場所や人など、クロスする部分が生まれることがワーケーションの価値だと思います。コロナ禍でなければできなかったこと・シーン・繋がりが生まれている。

―藤村さんは、新規事業開発のお仕事をされていますが、ご自身のビジネスの中ではワーケーションをどう活用していきたいと思われますか?

新規事業では「知の探索」がとても大切です。まだ見ぬもの・知らないものを得ることがとても重要なのですが、ワーケーションはそのすべてに直結していているので、新規事業開発に活かせると思います。
そもそも、新規事業=未来を創ること。現在の生活ではなく、誰もが知らない未来の生活を思い描く必要があります。今、コロナ禍で生活そのものが変わり、誰もが新しい一歩を踏み出しているので、まさに「未来の生活」のヒントが散らばっています。LIONがお客様の生活のために果たしていくべき役割のヒントが色々なところにあるので、ワーケーションでそういったものにたくさん触れていくことが大切だと考えています。
今までチャンスだと思っていたものがピンチに、逆にピンチはチャンスになる。こんな状況だからこそ、考えたり、思ったりしているだけではなく、実際に見に行き、感じることはとても重要だと思います。

理想の『ワーケーション』と、「ワーケーションをする」という「選択」

―藤村さんにとって、理想のワーケーションの環境はありますか?

実は「これ!」というものはありません(笑)
仕事の内容や目的によって理想の環境が変わってくるからです。

インプットするための時間や自分自身の研鑽目的なら家でも集中できます。発散・対話・アイディアの掛け合わせや生み出しなら「人と出会う場」が必要―――人の温度感を感じて、今までと違う環境で五感を刺激しながら仕事をするのがいいんです。だから、仕事の内容によって理想の環境は違うというわけです。

例えば、利用した施設の中でいうと『ThinkSpace鎌倉』。古民家で、暗がりの中で囲炉裏を囲むことができて…日常のビジネスシーンにないものがたくさんあります。なので、未来を考えたり、アイディアを出したり、議論をクロスさせていくことに向いていました。最近ではLIONの「未来を考えるワークショップ」などで『ThinkSpace鎌倉』を活用しています。

仕事の内容によって適切なシーンがあるのと同時に、シーンによって生まれるものも違います。だからこそ私にとっては「これだ!」という固まった理想がないのだと思います。
日本には四季があり、地域によって文化が違います。地域によって、考え方・話すこと・生活環境などがまったく違う。新しい地域やワーケーション施設に行き、新たな出会いがあることで、これまで自分が開けてこなかったような引き出しが開く体験がすごく面白い。そういう偶発的な出会いに期待しています。

―確かに、新たな出会いや経験よって、新しい引き出しが生まれますよね。その経験は別の場所で活かせたり、そこから更に新しい引き出しが開いたり。

そうなんです。特に今は、いつ・どこで・誰と働くかなど、「働くことの5W1H」の選択が個人に委ねられています。だとすると、「この仕事はここで、あの仕事はあそこで」というような「引き出し」=「選択肢」を持てることが、これからの働き方において大きな価値になると思っています。「選ぶ」ための「選択肢」が増えること自体が意味のあることだと思いますし、ワーケーションでその「選択肢」を増やしたいという思いもあります。

―藤村さんは早くからKomfortaWorkation(コンフォルタ・ワーケーション)に賛同いただいていました。私たちの掲げているワーケーション「Work×Location×Connection」のどこに魅力を感じたか、教えていただけませんか?

KomfortaWorkationの良いところは場所の提供ではないところです。
「この人がいるから行く」「こういう繋がりができそうだから行く」「今までに出会ったことのないものがある」など「出会いのデザイン」がKomfortaWorkationの強みであり魅力だと思っています。

今はまだ、企業勤めの30~40代向けの施設が多いかもしれませんが、フリーランスや学生の方々が出入りしている場、子育て中のママや国籍豊かな方々が使っている場など、色々な利用者がいる施設とも出会えるかもしれません。ワーケーションの中でダイバーシティ&インクルージョンが実現出来そうですよね。今後のKomfortaWorkationには、多様な人との偶発的な出会いのデザインを期待しています。

藤村様、ありがとうございました!次回のインタビューもお楽しみに!