Interview   vol.03

株式会社イブキ
代表

東京大学医学部附属病院
22世紀医療センター 研究員

平井 孝幸  Hirai Takayuki

2015年に健康経営をはじめ、多岐にわたる健康への取り組みや人事、総務、産業医との連携が評価され、「健康のためなら死ねる男」とも呼ばれるほど、ウェルビーイングに力を入れる平井さん。そんな平井さんに「ワーケーション」がもたらす心身への影響について聞いてみました。

インタビュー:KomfortaWorkation 山根好子

Interview   vol.03

株式会社イブキ
代表

東京大学医学部附属病院2
2世紀医療センター 研究員

平井 孝幸 Hirai Takayuki

2015年に健康経営をはじめ、多岐にわたる健康への取り組みや人事、総務、産業医との連携が評価され、「健康のためなら死ねる男」とも呼ばれるほど、ウェルビーイングに力を入れる平井さん。そんな平井さんに「ワーケーション」がもたらす心身への影響について聞いてみました。

インタビュー:KomfortaWorkation 山根好子

健康になる『ワーケーション』=『ウェルネスワーケーション』

―平井さんはご自身でもワーケーションをなさっていると思いますが、今までどんなワーケーション体験をされたか教えていただけますか。

私はどちらかというと、「ワーケーションをする」という立場よりも、「依頼されてワーケーション体験を作る」側なんです。「健康的になれる企画」、『ウェルネスワーケーション』として実施していました。一番初めは2016年頃で、北海道、金沢、沖縄や海外なども含めいろいろなところで実践しましたね。

―『ウェルネスワーケーション』素敵です。
ワーケーションという言葉が浸透するより前からそういった活動をされていたんですね。

はい。当時は、健康と観光を組み合わせた『ウェルネスツーリズム』と呼ばれていた企画でした。私の仕事上、「ウェルネス」「地方に行くこと」自体が仕事なので、これ自体がワーケーションになっていました。地域に合ったテーマを設けて企画をするのですが、例えば沖縄では東京に比べてメンタルの癒し効果が高くなるので、メンタルウェルネスを中心とした取り組みを入れた企画を作りました。他にも、夏の北海道で、東京より涼しく過ごしやすい環境がどれだけ生産性向上に役立つのかを調べたり、地域の方との交流によってどんなムーブメントが起こるのかを計ったり。金沢は発酵のまちなので、フグの卵巣の糠漬けやお酢、麹屋さんなど発酵食品を扱う老舗を巡って、発酵食品をよく食べる地域の方たちの健康度を調査したり、自分自身も発酵食を食べて腸内環境を改善にも役立てたりしました。

―今聞いたものだけでも、試してみたいものがたくさんあります。どれも体にいい影響がありそうです!

そうですね。私がこれまで考え、行ってきたのは、習慣を変えるための『ウェルネスワーケーション』です。高野山に行ったこともあるのですが、この時は宿坊に泊まって精進料理など東京の普段の生活ではなかなか食べられないものを食べました。東京に戻ってからも野菜中心や薄味の食生活をするなど、体験自体がきっかけになって行動を変える、習慣づいていくというところがポイントです。

私自身、気づいた時には健康的な生活を突き詰めていたので(笑)特別何か変わったということがあったわけではないんですが、実際に一緒に行った人たちの話を聞いてみると、ワーケーションがきっかけに行動が変わっているなと感じるシーンがあります。一緒に金沢に行った人たちの場合、最初は「発酵食品ってそんなに身体にいいの?」と懐疑的だったのですが、実際に食べてみたことがきっかけで「こんなにおいしいものならお取り寄せして食べ続けたい」と行動が変わった例がありました。

―確かに、食の体験は人気がありますし、習慣に取り入れやすいですね。

「健康」自体に強い興味を持つ方はそんなに多くないですが、「おいしい」ものには多く方が興味を持ちます。だから「おいしい」という入り口から、健康的な食生活に切り替えられるきっかけを作れることは、すごく価値があることだと考えています。

都内の健康的なレストランに行ってただ食べて、という体験だけでは習慣化に結び付きにくいと思いますが、現地に行って、生産者さんと話したり、生産工程を見たりして、各自が背景やストーリーを理解することで「継続したい」という気持ちが起きやすくなるんです。

企業の『ワーケーション』導入メリットは行動変容にある!

―企業の健康経営のスペシャリストである平井さんにズバリお伺いします。
企業で『ワーケーション』を導入することで、どんなメリットがあると思われますか?

そうですね。ワーケーションをすることによる企業にとってのメリットはやはり『行動変容』にあると思います。例えば、社員に対して食事やメンタル系のセミナーを行ったとしても、残念ながらその場限りで「面白かったね~ハイ、終わり。」となってしまいがちです。先ほどの高野山や金沢の例でもお話したように、いつもと違う場に行って、きちんと作られたプログラムに参加すると、東京に戻ってきても教わったことを続ける人が出てきやすいように思うので、それ自体が1つのメリットだと感じています。

また、実際にワーケーション期間中に数値計測を行うことで、健康のための新しい習慣にどんな効能があるかを計ることができるので、投資対効果の算出ができることもメリットです。例えば、社内で例えば50万円のセミナーをやったとして、セミナーをきっかけに行動変容がどういう風に起きるのかがわからなかったら、その50万円は果たして意味あるものだったのかわかりません。ですが、ワーケーションの場合は1週間の体験の中で体重が3kg落ちたとか、マインドフルネスを導入するようになって怒りや悲しみの感情が減るなど成果を計ることが可能なので、健康経営の中で言うプレゼンティズム(生産性の損失効果)※を数値化することができます。そうすると、「ウェルネスワーケーションに対してはいくらくらいの投資をすることができるね」というところまで算出できるようになると思っています。健康系のセミナーを単発で何度も実施するよりは、まとまった予算を使って定期的にワーケーションをする方が効果が出るんじゃないかな。

※プレゼンティズムとは
社員が出社していても、何らかの不調のせいで頭や身体が思うように動かず、本来発揮されるべきパフォーマンスが低下している状態のこと。
運動、食事、睡眠、メンタルなどすべての領域におけるプレゼンティズムによる損失が年間数億円を超えることも。

(参考:「仕事で成果を出し続ける人が最高のコンディションを毎日維持するためにしていること」(東洋経済新報社) – 平井孝幸)

―なるほど。健康経営の角度から見た時、成果の測定や社員の行動変容自体に価値があるというお話、納得です。具体的にどんな取り入れ方がおすすめですか?

例えば、新卒研修の期間にワーケーションを実施、そこで研修をやりながら、良質なライフスタイルを身に着けてもらう。そうすることで、その後何十年もその会社で働く社員の健康リスクやプレゼンティズムを減らせるので、投資対効果の価値も高いと思います。

また、ワーケーション期間中に社員同士が一緒にアクティビティをすることで、普段接することのない社員同士が話すきっかけにもなり、距離感が縮まることもあります。普段仕事を教わっている上司に、若手がスポーツを教えるなど、今までになかったコミュニケーションの方法になることも価値があると思っています。

―コミュニケーションにも変化があると、その後の人間関係や職場でのプレゼンス向上にもつながりそうですね。

例えば、本当は力があるのに、その時の仕事のことで悩んでいたり壁にぶつかっていたりして退職を考えているような人が、ワーケーションをきっかけに自分の強みを発揮することができて、会社でのプレゼンスも上がって、それから活き活きと働いていくことができるきっかけになる可能性があると思っていて。ワーケーションが新しいターニングポイントになるような設計もできるんじゃないかと考えています。

―平井さんの思う、そんな「行動変容のきっかけになる」理想のワーケーション環境はどんなものですか?

理想的な環境としては、抽象的ですが、『季節に応じた場所で、その場所の魅力が最大限味わえる、かつ、そこでもたらされる経験がその人たちにとっての必要な行動変容を促すもの』であることがとても重要だと考えています。
例えば夏の北海道。ワーケーション期間中はとても美味しい野菜料理を食べられて、参加者が楽しく参加できるような運動プログラムを受けられるようなワーケーション体験などはどうでしょう。メタボ気味の人なら期間中に体重が落ちたり、筋肉がついて体のシルエットが変化したりと、帰ったときには体感的にも外見的にも別人!というような経験が得られる体験は、実際にこれから作れるといいなと考えています。従業員満足度も上がり、企業エンゲージメントが高まる。そういった結果が得られるなら、会社としても「何回もいかせてもいいんじゃないか」と判断できると思います。

―私たちKomfortaWorkation(コンフォルタ・ワーケーション)の掲げているワーケーション「Work×Location×Connection」の考え方や、ワーケーションを通じて体験してほしいことが、平井さんの作られている『ウェルネスワーケーション』とも通じるところがあると感じました。その地域ならではの人やモノと繋がり、その人の人生自体を豊かにしていくというコンセプトのワーケーション体験に、共感や期待するところを教えてください。

KomfortaWorkationさんの考えるようなワーケーション体験は、企業が率先して取り組んでいった方がいいものだと考えています。期待するところとしては、そういうことに賛同する企業をいかに増やしていくかという点です。成功事例を増やしていくことができれば、企業がワーケーションを導入していくことが当たり前の文化になっていくので、その『文化づくり』の部分にも力を入れていただけるといいなと思います。

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平井孝幸 氏
株式会社イブキ代表
慶應義塾大学卒業後、ゴルフ事業で起業。2011年にIT企業に入社。
15年から働く人の健康×パフォーマンスアップサポートを開始。
19年に所属する企業が経済産業省と東京証券取引所から評価され、健康経営銘柄を獲得。
近著に「仕事で成果を出し続ける人が最高のコンディションを毎日維持するためにしていること」

平井様、ありがとうございました!次回のインタビューもお楽しみに!

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