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教えてワーケーションvol.06

教えてワーケーション!vol.6
〜ハイブリッドな未来の働き方〜

2021.09.10

こんにちは!komforta workation事務局です。
先日、教えてワーケーション!vol.6を開催しました!
今回は、関西大学の松下教授を迎え「ハイブリッドな未来の働き方」についてのトークセッションをお送りいたしました。ここではその一部を抜粋してご紹介します。

アフターコロナにおける働き方を最前線で研究している松下教授から語られる情報はどれも非常に興味深く、考えさせられるものばかりでした。

〜トークテーマ〜
① なぜ今ワーケーションやフレックスプレイスを導入する企業が増えているのか?
② ハイブリッドワークスタイルの広がり
③ リモートネイティブとの向き合い方
④ 都市とオフィスの関係
⑤ ワーケーションについて

ワーケーション、フレックスプレイスの導入は「社員のエンゲージメント向上」、「リモートネイティブ層の優秀人材獲得」に繋がる

(株)スカラパートナーズ 村松知幸(以下、村松):
近年ワーケーションやフレックスプレイスを導入する企業が増えてきていますが、その理由は大きく2点あります。

1点目は、社員のエンゲージメント向上に繋がることです。
従業員が決められた環境・決められた時間に働くのではなく、働き方を自ら選択できることで「働きやすさ」に繋がります。また、「自ら選択する」習慣がつくことで、受け身から自律型社員への変化が見られ、結果としてエンゲージメントの向上が期待できます。

2点目は、Z世代やリモートネイティブ層の優秀人材を獲得に繋がることです。
一般的に、これからはZ世代・リモートネイティブ層が会社のイノベーションを牽引していくと言われており、彼らの獲得が事業の明暗を分けるとも言えます。
そんなリモートネイティブ層の中でも特にアクティブな学生達は現在、日本各地で社会経験を積みながら、並行して遠隔地から大学の講義にリモートで参加するというような行動をとっています。何かに取り組む際に場所に囚われない、つまり“フレックスプレイス”という価値観の中で既に生活しているわけです。そうした学生達に場所を限定した働き方が好まれないのは当然です。人材獲得の観点、もっと言えば経営戦略の観点でも、場所に囚われない働き方の導入は非常に重要なテーマと言えます。

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2025年には、日本の労働人口の過半数がミレニアル世代以下になります。こういった構造改革を見据えて経営戦略を練られているか?試行錯誤ができているか?既に、感度の高いマーケッター、事業開発や企画の職種などが対応しはじめている傾向にあります。

※Z世代とは?
1990年後半頃から2012年頃に生まれた世代のことを指します。彼らはデジタルネイティブであり、SNSネイティブ、さらにスマホネイティブでもあるといった特徴があります。

※リモートネイティブとは?
「リモートネイティブ世代」とは、主に2020年4月に新卒で入社し、一度もオフィスに出社したことがないか、出社日数を最低限に止めて在宅勤務中心で働く社会人のこと。

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ハイブリッド・ワークスタイルが世の中の当たり前に

ハイブリッド・ワークとは一般的には、リモートワークとオフィスワークを柔軟に選択して業務を行う新しい働き方のことを指します。

関西大学 松下慶太教授(以下、松下教授):
週5日オフィスか完全在宅かという二者択一ではなくハイブリッド・ワークがデファクトスタンダードとして定着していくと考えられます。皆さんもご存知のビッグ・テックのGoogle、Apple、Facebook、Amazonもそれぞれハイブリッド・ワークの導入を進めています。

コロナ収束後も、企業がハイブリッド・ワークを推進していくことが非常に重要になってくることは様々なデータでも明らかになっています。
アメリカでの調査でも、「2021年8月から週5日オフィスワークに戻すと宣言したらどのように反応するか?」という問いに対して、約4割以上の社員がリモート環境で働くことができる職場への転職を考えると回答しています。また別の調査では「今後テレワークとオフィス利用を併用するなら、週に何日出社をしたいか?」という問いに対しては、週2~3日という回答が7割を占めるなど、多くの人がオフィスとリモートを併用するハイブリッド・ワークの強い意向を持っているのです。

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出典:Barrero, Jose Maria, Nicholas Bloom, and Steven J. Davis. 2021. “Let Me Work from Home, or I Will Find Another Job.” SSRN Electronic Journal.”https://doi.org/10.2139/ssrn.3890988.”

また、オフィスの考え方にも変革が起きてきています。アメリカの起業家へのアンケートで、「起業する際、どの場所にオフィスを構えたいか?」という問いに対して、コロナ前は圧倒的にサンフランシスコ・シリコンバレーが人気でした。

▼コロナ前アンケート (2020年) 「起業する際、どの場所にオフィスを構えたいか?」

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出典:The View From Initialized(2021)「Post-Pandemic Silicon Valley Isn’t A Place」”https://blog.initialized.com/2021/01/data-post-pandemic-silicon-valley-isnt-a-place/”

しかし、コロナが流行しリモートワークが普及した結果、2021年には特定のオフィスを構えず「リモート上で起業する」という回答が4割と圧倒的な結果になっています。

▼コロナ後アンケート(2021年) 「起業する際、どの場所にオフィスを構えたいか?」

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出典:The View From Initialized(2021)「Post-Pandemic Silicon Valley Isn’t A Place」”https://blog.initialized.com/2021/01/data-post-pandemic-silicon-valley-isnt-a-place/”

このようにアメリカでは徐々に「ハイブリッドな働き方」が根付き出していると言えますね。

ハイブリッド・ワークスタイリング時代において快適に仕事をするためには、オンライン、オフラインのメリット、デメリットを理解し、最適に重ね合わせていくことが重要

松下教授:
リモートが当たり前のリモートネイティブと、そうでない人々とで場所に対しての価値観の違いはやはり今後出てくることが予想されます。
実際にデータでもこの結果は現れており、「生産性」という面では経営層・ボーン・デジタル(Z世代)とでオフィスを重視する傾向は同じですが、「創造性」では経営層は5割が“オフィス”と回答し、ボーン・デジタル(Z世代)は約4割が“家”と回答しています。また「ウェルビーイング」ではさらにギャップが見られます。

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出典:Citrix(2021)「Work 2035 The Born Digital Effect」”https://www.citrix.com/content/dam/citrix/en_us/documents/analyst-report/work-2035-the-born-digital-effect.pdf”

様々な価値観の人間が働く上で、今リモートで問題なくうまく仕事をしている人に対して「オフィスに戻れ」と強要をすることはあまり望ましくありません。
大切なのは、オンラインとオフラインを切り離して考えるのではなく、双方の良いところ、悪いところを理解した上で、最適に組み合わせたり、付加価値を見つけていく事です。そうすることでそれぞれの社員が自分の状況、働き方に合った選択を柔軟に取り入れ、オンラインとオフラインを二者択一ではなく重ねて考えることができる環境を整えたり、スキルを身につけることが重要だと言えます。

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WFHからWFX――「家で仕事をする」から「最適・快適な場所で仕事をする」という概念に

松下教授:
コロナ禍においてリモートワークを導入した企業の多くがさまざまな課題を抱えているかもしれませんが、それらの多くは実は自粛的生活での「在宅に限定した勤務」が原因で生まれるものです。
必要なのは「家で仕事をする」というような制限的なイメージでテレワークを捉えるではなく、「どこでも仕事ができる」というオフィスを相対化する姿勢で、社員個人が働く場所を主体的に選べるような環境を整えていくことが理想です。

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また、コロナ前まではオフィスにカフェやリラックススペースなどを併設させるような動きが多く見られました。アフターコロナにおいてはオフィスで仕事をするという概念ではなく、どこでも仕事ができ、働く場所の選択肢の中にオフィスや家が含まれるといった構造になっていくと考えられます。

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ワーケーションを日本で進めるときに重要なことは「制度」として導入し、「働く環境の最適化」を図ること

松下教授:
ワーケーションに関しては、観光的な要素で捉えることが多いですが、砂浜でP C片手に仕事をするのは決して働きやすい環境とは言えません。ワーケーションはより快適に仕事ができる環境を整えるためだと考えることが重要です。

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また、日本でワーケーションを普及させていくにあたっては、制度型にすることが重要です。欧米のように自発的活動が少ない日本人は、企業が制度として導入することで「日本型のワーケーション」として普及させていくことができる可能性があります。

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ワーケーションをする価値は自律型人間の獲得・育成にある

松下教授:
日本におけるワーケーションは徐々に変化し、今後は単なる観光の代替という位置づけを超えて、ワーカーが地域のパートナーとなり、相互に価値創造をするというものに変化してきています。

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近年、自律型人材をどれだけ育成、確保できるかは大きな経営課題になっています。またESG投資や人間主義経営などにも注目が集まっています。

自律型人材を育成・確保することが社会課題解決などを通して会社にとっても利益になりますし、逆に地域や地球が抱える問題に対して、企業が見せかけではなく本当に解決や貢献をしていることが自律型人材を育成したり、惹きつける魅力になっていきます。

その意味でワーケーション2.0は自律型人材の育成・確保と地域・地球への働きかけのシナジー効果をもたらすポテンシャルを秘めていると言えるでしょう。

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〜Q &A〜
ウェビナー参加者からの質問にお答えいただきました。

【Q1】自治体側として求められていることはありますか?

松下教授:
提供しすぎないことが大事。身一つ来てもらえれば何でもします!はお客様扱い。「一緒に作りたい」「余白」があるからこそ、企業の人が行って一緒に何かができる余地があります。地元の観光体験もりもりのモニターツアーは、「楽しかったけど仕事ができなかった」となる可能性もあるので注意です。

村松:
Remix(異なるものが混ざり合い、ひとつの形になること)の概念がフィットするのではないかと思っています。お膳立てしない、お客様扱いをしない。ビジネストリップでもない、観光でもない、なぜワーケーションで来るのかのメリットは多々あります。仕事や人生にプラスとなるものを得たいという期待がある。経験上、面白い人がいれば、その人にまた会いたい!と思えます。人と人とのつながりが極めて重要です。ユーザー側も常に変化しているので、地域型も変化していくことが必要ではないかと感じています。

【Q2】個人や組織にとってどのような変数が適したスタイルを決めますか?

松下教授:
考えられるものとしては家族持ちか単身か、子育て・介護などを含む「家庭事情」に加えてどこでどのようなキャリアを歩みたいかという「キャリア観」、コミュニティ、地元などとどのように接したいかなど「距離観」などが変数としてあるかと思います。

【Q3】デジタルネイティブやリモートネイティブの方々に向けて、サービス業として何か押さえておくべきポイントのようなものはあったりしますでしょうか?

松下教授:
「プロセスエコノミー」が注目されていますが、プロセスを見せながら一緒に作っていくのがいいのではないかと思います。舞台裏や隙を見せ、「手伝って」「一緒に作ろう」という完璧なサービスではない、フラットな姿勢をポジティブに見せていくのがポイントになるのではないか?

事務局より

松下教授貴重なお話ありがとうございました!
これまで「ワーケーション」=観光のイメージが強い方も多かったと思いますが、そうではなく地域との共創や自立型人材の確保・育成につながっていくというのは非常に興味深かったですね。
フレックスプレイスやワーケーションの考え方が徐々に世の中に浸透してきていることが話の中で伺えました。
今後、ワーケーションの導入を考えていく際にはいろいろな観点で検討を進め、どんなサービスを導入すべきかが非常に重要になっていきますね。

そしてなんと、今回登壇頂いた松下教授と共同でフレックスプレイス研究会を立ち上げることになりました!!
今後、ワーケーションやフレックスプレイスを導入する上でどのようなことを考え、どのような形で導入していくべきかを研究していきます。
人数限定で参加者を募集しております。
ご興味のある方は是非、下記お問い合わせフォームよりお問い合わせをお願い致します!

一緒に未来の働き方を作っていきましょう!

GUEST

松下 慶太 氏
関西大学社会学部メディア専攻教授。神戸出身。
京都大学文学研究科、タンペレ大学(フィンランド)、ベルリン工科大学(ドイツ)客員研究員、実践女子大学准教授を経て現職。専門はメディア論。メディア・テクノロジーと場所とが生み出す新しい経験について研究。

LirKロゴ

COVID-19を発端とした、社会変革の波は我々の働き方や休暇の形だけでなく、新しいライフスタイル/ワークスタイルを考え、実践していくオンラインサロン。
LifeWorkの境界線が曖昧になっていく未来をイメージし、「LirK」と名付けられました。

毎月1回、KomfortaWorkationとの共催で、無料ウェビナー「教えてワーケーション!」開催中。
次回開催予定、お申し込みはこちらから。

▼LirK×KomfortaWorkation コラボトークお知らせページ
https://co-lab-talk.peatix.com/

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株式会社スカラパートナーズ
代表取締役 梛野 憲克

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