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教えてワーケーションVol.09

教えてワーケーション!vol.9
〜フレックスプレイス制度は社員の働き方と意識をどう変えるのか〜

こんにちは!Komforta Workation事務局です。
先日、教えてワーケーション!vol.9を開催しました!
今回は、山梨大学の田中教授を迎え「フレックスプレイス制度は社員の働き方と意識をどう変えるのか?」をテーマにトークセッションをお送りいたしました。ここではその一部を抜粋してご紹介します。

〜トークテーマ〜
①なぜ今ワーケーションやフレックスプレイスを導入する企業が増えているのか?
②社内にワーケーションを導入するポイントについて
③日本におけるワーケーションについて
④今後企業にワーケーションが導入されるために必要なことについて
⑤ワーケーション経験者の特性/傾向について
⑥ワーケーションの効果に関して
⑦今後のフレックスプレイスを取り入れた働き方に関して

ワーケーションの導入は「社員のエンゲージメント向上」、「優秀な人材の獲得」に繋がる

(株)スカラパートナーズ 村松知幸(以下、村松):
近年ワーケーションやフレックスプレイスを導入する企業が増えてきていますが、その理由は大きく2点あります。

1点目は、社員のエンゲージメント向上に繋がることです。
従業員が決められた環境・決められた時間に働くのではなく、「自ら働き方を選択する習慣」がつくことで、受け身から自律型社員への変化が見られ、結果としてエンゲージメントの向上が期待できます。
また、働く場所に関しては労働関連法規において労働時間ほど厳しく制約されている訳ではないので、「働く場所の柔軟化や自由化」に関しては、比較的企業がクリエイティブにデザインしやすいと言えます。

2点目は、Z世代やリモートネイティブ層の優秀人材の獲得に繋がることです。
コロナ禍の現在、優秀な大学生達は日本各地で社会経験を積みながら、並行して遠隔地から大学の講義にリモートで参加するというような行動をとっています。何かに取り組む際に場所に囚われない、つまり“フレックスプレイス”という価値観の中で既に生活しています。そうした価値観を持つ学生達に今の働き方が合っているのかは、今後人材獲得の観点、もっと言えば経営戦略の観点でも、非常に重要なテーマと言えます。あと3年もすれば日本の労働人口の過半数がミレニアル世代以下になると言われています。世代交代が起こっていく中で、今後入社してくる人材の価値観を捉えていくのは非常に重要です。

※Z世代とは?
1990年後半頃から2012年頃に生まれた世代のことを指します。彼らはデジタルネイティブであり、SNSネイティブ、さらにスマホネイティブでもあるといった特徴があります。

※リモートネイティブとは?
「リモートネイティブ世代」とは、主に2020年4月に新卒で入社し、一度もオフィスに出社したことがないか、出社日数を最低限に止めて在宅勤務中心で働く社会人のこと。

社内にワーケーションを導入するポイントは、自社にはできないと決めつけるのではなく、まずは小さくスタートしてみること

村松:
最近、ワーケーションを導入している企業の特徴としては、ワーケーションとしてではなく、「フレックスプレイス制度」として社内に導入するケースが増えてきています。
会社においてワーケーションを導入しようとすると、観光要素が強いためなかなか導入が進みにくい場合が多いのですが、少し表現を変え、「フレックスプレイス制度」として社内で検討すると進みやすくなる傾向にあります。「働く場所の自由化」を推進したいが、カフェや漫画喫茶で従業員に働いて欲しいわけではない。そんな中で、働く環境が整っており、且つ従業員やチームの可能性が広がっていくような施設を使いたいという意向のもと、我々のサービスを使って頂く企業様が増えています。
なかなか業界的に制度として導入することが難しい中でも、従業員に意欲的に働いてもらえるような環境を整えるために試行錯誤をしていけば、「働く場所の自由化」が前進する可能性は高いと考えています。

また、様々な企業様とお話をさせて頂く中で、「ワーケーションは魅力的だが、自社の社員の働き方として合っているか分からないため、実証をしたい」という要望が最近非常に増えています。
そこで、我々は複数の大学機関と連携した研究会を立ち上げました。研究会の中で、企業の従業員様を対象にワーケーションがもたらす効果を実証で明らかにしていく取り組みをスタートしております。こういった取り組みを活かして、まずはトライアルとして実証に取り組んでみることも、アフターコロナの働き方を整備していく上で非常に効果的だと考えています。

日本におけるワーケーションは、仕事中心の過ごし方をする人が多い傾向

山梨大学 田中淳教授(以下、田中教授):
現在、ワーケーションという言葉は認知度として非常に高まっています。日本における「ワーケーション」という言葉は一つの意味ではなく、様々な類型で捉えられています。例えば、下記の観光庁が示している類型の資料の中では、ワーケーションは休暇型と業務型に分けられると表現されています。最近は中でもサテライト型と呼ばれる「自分が働く場所を選んで仕事をする」という働き方が増えている傾向にあると思っています。自分で選んだ場所で働きながら、その場に集まるビジネスパーソンに出会うなど、越境学習的環境の中で過ごすという考え方が少しずつ広まってきているのかなと思っています。

出所:観光庁「「新たな旅のスタイル」ワーケーション&ブレジャー企業向けパンフレット」

また、ワーケーションをしているビジネスパーソンへのアンケート調査をクロスマーケティングと実施し、その結果を分析すると、回答者の約4割が仕事中心の過ごし方をされていることが分かってきています。業務時間も平均5.4時間ということで、意外にも休暇をメインとした過ごし方でないということが結果から見てとれます。

出所:山梨大学×クロスマーケティング「ワーケーションに関する調査」

また、同調査において、「実際にワーケーションを実施した際の仕事内容」に関するアンケート結果を分析すると、回答者の9割以上が「普段の仕事の一部」、「普段の仕事と全く同じ」という回答となっています。このような結果から、普段の仕事を「自分の好きな場所」で行っている人が多い傾向にあることがわかります。

出所:山梨大学×クロスマーケティング「ワーケーションに関する調査」

働く場所の自由化を導入する上で重要なことは、全体的に受け入れられる制度にすることではなく、「働く場所を自由に選択したい人に対して制限をしないこと」

田中教授:
ワーケーション体験者に関しては、多くの方が好意的な印象を持っているケースが多いです。下の図はワーケーション実施者を対象にしたアンケート調査の分析結果ですが、「リラックスできた」というような声や「集中できた」といった声が見られます。一方で、好意的な意見ではない方もいます。好意的でない方の感想を分析してみるとワーケーションにおける課題というよりは、リモートワークや通信環境における課題を挙げていることが多いです。

出所:山梨大学×クロスマーケティング「ワーケーションに関する調査」

また、ワーケーションをやったことがない人は、ワーケーションに好意的印象を持っていない人も多く、世の中のどんなデータを分析しても約3割程度の方は、ワーケーションに対して否定的な意見を持っています。ワーケーションに限らず、社内の中で新しいことをする際に否定的な意見を持つ方は必ず出てきます。

こうした結果を踏まえて、ワーケーションは全体的に受け入れられるように取り組むよりは、「働く場所を自由に選択したい人に対して制限をしないこと」が重要なのではないかと感じています。

若い世代はワーケーションへの関心度が高いが、企業はなかなか導入の検討に至っていないのが現状

田中教授:
下記のデータは、世代別のワーケーションに関する米国での意向調査のデータです。こちらのデータから、年齢別に比較すると若い世代ほどワーケーション関心度が高い傾向にあることが分かりますがこの傾向は日本でも当てはまると考えられます。

出所:The State of American Vacation 2018

また、求人サイトでもテレワークを推奨している企業の方がそうでない企業に比べてクリック数や応募者数が高かったりします。今後、こうした傾向から人材戦略的にアフターコロナにおいてもテレワークを継続したりする企業が増えてくるのではないかと予測しています。

一方で、若い世代の価値観とは裏腹に企業側のワーケーション導入意識はまだ低い傾向にあります。下図のデータからも読み取れるように、テレワークとワーケーション共に知名度は高いものの、実際に導入の検討に進んでいる企業は認知度と比較して大変低い現状にあります。

出所:ワーケーションに関する調査(クロス・マーケティング)

今後ワーケーションが企業に導入されていくうえでキーとなるのは、「導入による効果の見える化」

田中教授:
ここから、企業がワーケーションの導入を進めきれていない原因を考えてみます。まず、企業がワーケーションの導入を進めきれていない1つ目の理由としては、「テレワーク環境が整っていない」ことが挙げられますが、コロナにより急速にテレワーク化が進んだので、現状ではもうこの点についてはワーケーション導入における大きな障壁とは言えません。

出所:東京都資料

次に、労務管理上の法令や基準が曖昧で運用が困難であるという問題が挙げられますが、こちらも2021年3月に厚生労働省が出したガイドラインに明記されたことで大きく前進しました。ワーケーションに関しても、ガイドラインの中でモバイル勤務、サテライトオフィス勤務の一形態として分類され、同様のルールに基づくものと明記されています。

※テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン
▶詳細はこちら

出所:厚生労働省テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン

では、なぜワーケーションに取り組むことができる環境が整ってきたにもかかわらず、ワーケーション導入を検討しない企業が大半なのでしょうか?理由としては、まず、コロナ禍の影響で緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置が取られている中で、こうした事態への対応を行いながら一方で「移動を推奨する」ワーケーションの導入が難しいことがまず考えられます。また、多くの企業では就業規則や各種規定類の変更を年度初めに行うため、ちょうどその端境期にあたっていることもその要因の1つでしょう。ただ、担当者としては「そこまで苦労して制度導入することによる効果が分からないこと」「エビデンスもはっきりせず、経営層を納得させることが難しい」といったあたりが本音なのではないでしょうか?

したがって今後企業の中でワーケーションが広がっていくためには、ワーケーションによってどのような効果が得られるのかを明らかにしていくことと、コロナ禍においてもワーケーションをしている人はどのような人なのか(企業にとって有益な人材がワーケーションをしているのか?)を紐解いていくことが大切なのではないかと考えています。

ワーケーション実施者の傾向を紐解くと、エンゲージメントや自律性など多くの項目で未経験者と比較して高い傾向にある

田中教授:
ここからは、ワーケーションを実施したことがある方についての分析をしていきたいと思います。ワーケーション実施者がどのような人なのかを明らかにするための調査を同じくクロスマーケティングと共同で実施しました。その研究データをお見せしながら、ワーケーション実施者の傾向を明らかにしていきましょう。

この調査ではワーケーション実施者と、テレワークのみ実施している人、双方共に未経験の方の3つのカテゴリーに分けて調査を行いました。分析の結果としては、ワーケーションの経験者においては、能力的な側面では、新しいアイデアや着想、課題の発見が高い傾向にあること、職務に関しては、能力や経験値が向上していると自己評価している割合が多い傾向にあることが結果として出ました。

出所:山梨大学×クロスマーケティング「ワーケーションに関する調査」

また、企業側として気になるエンゲージメントに関してですが、ワーケーション経験者は、ワーケーションをしていない方と比較して、企業への愛着度やエンゲージメントが高い傾向にあることも分析の結果明らかになりました。

出所:山梨大学×クロスマーケティング「ワーケーションに関する調査」

次に、志向性のタイプとしてワーケーション経験者は、「自律」、「越境学習」、「イノベーター気質」などあらゆる項目において非経験者よりも意識/志向性が高いことがわかりました。

出所:山梨大学×クロスマーケティング「ワーケーションに関する調査」

なお、企業として気になる生産性に関する効果ですが、生産性が上がったという意見もあれば下がったという意見も双方あり、現段階でワーケーションが生産性向上に直結するとは言えない状況です。生産性に関しては、今後さらに実証を重ねていく中で明らかにしていくべきだと感じています。

企業におけるハイパフォーマーは、働く場所を目的別に変更しており、ワーケーションの実施率、好意度ともに高い

田中教授:
こちらも面白いデータですが、HUMAN FIRST研究所が発表している、企業におけるハイパフォーマー(上位25%)とローパフォーマー(下位25%)を比較した研究の結果データによると、ハイパフォーマーグループは、ローパフォーマーと比較して、目的別に様々な場所で仕事をしている傾向にあることが明らかになっています。

出所:個人のパフォーマンス 向上因子に関する協働調査研究 法政大学経営学部 永山晋准教授 野村不動産(株) HUMAN FIRST 研究所

続いて下記データには、ワーケーションに関してのハイパフォーマとローパフォーマーの実施率と好意度が示されています。ハイパフォーマーはワーケーションの実施率、好意度ともに高いですが、ローパフォーマーは双方ともに低い傾向にあります。先ほどの調査結果と同様に、企業への貢献度の高い社員と、ワーケーション的な働き方を好み、積極的に行いながらパフォーマンスに繋げようとする志向性がここでもみてとることができます。

出所:個人のパフォーマンス 向上因子に関する協働調査研究 法政大学経営学部 永山晋准教授 野村不動産(株) HUMAN FIRST 研究所

今後の働き方を検討していく上でも、ハイパフォーマーが動きやすい環境を整えていくことも重要です。そんな時に「フレックスプレイス」という概念は非常に重要な要素であると考えられます。

今後の働き方は、働く時間と場所の自由化に加え、様々なコミュニティ/人と出会えるような環境を整えることが重要

田中教授:
様々なデータで若い層を中心にワーケーションの意向が高まっていることが見て取れたと思います。こうした流れの中で、どうすればワーケーションが進んでいくのかを考えると、やはりフレックスプレイス制度として、働く場所の自由度を上げていくことが重要ではないかと考えています。企業に所属する従業員の方がワーケーションに行くことを上司に言いづらい雰囲気がある中ではなかなかワーケーションが浸透していくことは、難しいと思います。まずは、従業員が自分で働く場所を選択できるようなインフラを整えることと合わせて、ワーケーションの受容を1つの契機に、組織としてのD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)への理解を深め、心理的安全性を大切にする風土づくりが重要かと思います。

出所:人事実務(産労総研)2021年2月号

また、新たな働き方の考え方として「W A A(Work From Anywhere Anytime)」という概念がありますが、そこにもう一つの要素として「Any Community」という「誰と繋がって仕事をするのか、どんな人が参加しているコミュニティーに加わり、自分にとって快適な関係を広げていく機会を創ることができるか」という要素も大切だと思っており、こうしたベネフィットはフレックスプレイスという働き方だからこそ得られるものではないかと思います。

今後の働き方としては、「働く場所の自由化」を促進し、人々が複合的且つ自由にライフスタイルをデザインすることができるような環境を整えることが望ましいです。そうすることで、働く人々の自律や新たな価値創造が促進されていくような世の中になっていくと思っています。そのためには人やコミュニティとの新たな出会いが生まれるような場所に身をおける、そんなフレックスプレイス制度を作っていくことが重要だと考えています。

事務局より

田中教授、貴重なお話ありがとうございました!
ワーケーションに関しての効果や現在どのような人がワーケーションをしているのかなど、データや数値を実際に見せて頂くことで非常に納得感がありました!

今後、アフターコロナにおける働き方を検討する上でも非常に参考になるお話でした!
我々も今後世の中に「フレックスプレイス」という考え方が広がっていくよう、新たな働き方を牽引していく立場としてさらに精力的に活動して行きたいと思います!

GUEST

田中 敦氏 氏
山梨大学 総合研究部生命環境学域社会科学系長 地域社会システム学科長 教授
専門分野は観光学(観光ビジネス論、観光政策論、観光地経営論、MICE、人材育成)
主な研究テーマは「ワーケーション」、「ワークスタイルとライフスタイル」、「働き方改革」、「ワークプレイス」「観光産業における経営戦略」、「イノベーション」、「組織・人材戦略」など多岐にわたる。
JTB、JTB総合研究所や社内ベンチャーの起業・経営等の民間での経験を活かして、産学連携による新たなビジネスの創出にチャレンジし、ゼミ生は毎年クラウドファンディングを活用したプロジェクトにも取り組む。

LirKロゴ

COVID-19を発端とした、社会変革の波は我々の働き方や休暇の形だけでなく、新しいライフスタイル/ワークスタイルを考え、実践していくオンラインサロン。
LifeWorkの境界線が曖昧になっていく未来をイメージし、「LirK」と名付けられました。

毎月1回、KomfortaWorkationとの共催で、無料ウェビナー「教えてワーケーション!」開催中。
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